Dream Japan

Vol.18:
"Appetite for Illusion!" - Tribute to G'NR

 (アペタイト・フォー・イリュージョン) - G'NRトリビュート

(2014/12/31)

"You know where you are...!"(何処にいるのかわかっているか...!)

1980年代末の混沌の中で突如現れ、ロック界の頂点を極めた米国インディアナ出身の天才、アクセル・ローズとイジー・ストラドリンを擁したガンズ・アンド・ローゼスは同じインディアナ出身の天才マイケル・ジャクソンが"King of Pop"としてミュージックシーンの頂点を極めて以降、その後のシーンをリードするラップブームが訪れ、ロックの衰退の危機という混沌とした中でハードロックブームに少し火がつきはじめた頃に登場した。

大御所エアロスミスの復活、日本人ハードロック・ファンを増やしたボンジョビやホワイトスネイクの大ヒット・・・そんな中で「北斗の拳」をリアルに再現するようなデカダンで、最も"Dangerous"な香りのするバンドが登場した。ロンドン生まれのリードギターのスラッシュに「俺達はリアルロックンロールバンドだ!」と言わしめたガンズ・アンド・ローゼスが遂にハリウッド、カリフォルニアに登場した。ザ・ローリング・ストーンズのギタリスト、キース・リチャーズは、「ガンズにはジミー・ペイジとジェフ・ベックがいる」と言ってスラッシュとイジーの両ギタリストを賞賛した。

印象的なリフの"Sweet Child O' Mine"は全米No.1、"Welcome to the Jungle"はLAに上京してきた際の酷い状況を見事に表現し、そして"Paradise City"が彼らの人気を決定的なものにした。"Take me down to the Paradise City..."(パラダイス・シティに連れていってくれ)という歌詞は多くのファンを魅了した。

・"Paradise City"

2nd Albumとの合間にリリースした"GN'R Lies"はデビュー以来の彼らの悪い噂は嘘だと言わんばかりのライブ風の楽曲とアコースティック・ソングを集めたミニ・アルバムであり、"Patience"などのヒットを飛ばした。

そして遂に1991年にリリースした2nd Album、"Use Your Illusion"は何と2枚組アルバムだった。

・"November Rain cover"


「俺らのアルバムは全く時流に外れたものになるぜ!」こうスラッシュが語ったアルバムは全世界で1、2位を独占した。ロック界ではモトリー・クルーやポイズンなどがチャートの上位に入ってきていたがそれらのLAメタル、グラムロックを継承したような連中とも異なる独自の路線を築き、流行に乗らず、彼らが”新たな流行を作りだす”ほどのスリルさえ感じるリアリティがあった。

ヴァン・ヘイレンが"Beat It"でマイケルのゲストとして楽曲を高みに導いたが、スラッシュも"Give in to me"で泣きのギターを披露した。

"Enter Sandman"が大ヒットしたメタリカや美しいカヴァーを披露したジョージ・マイケルらと並び、クィーンの追悼コンサートでひと際目立ったのはアクセルのヴォーカルだった。

ニルバーナを気に入り、前座に使おうとしたところカート・コヴァーンに拒否され怒ったのもアクセル。彼らが好きだったパンクのカヴァー集、"Spaghetti Incident"をリリースしたもののメタリカにその構想を事前に語ったところ、"So what?"をメタリカが先にカヴァーして激怒したのもアクセルだ。そしてナイン・インチ・ネイルズのトレント・レズナーが登場し、新しいインダストリアル・ミュージックをもたらせたことでロックも打ち込み重視の傾向に向かっていく。

2001年にはヴォーカル、アクセル・ローズのみで3rd Album、"Chinese Democracy"の完成をアナウンスしたが、オリジナルメンバーは彼以外に誰もいなくなった。

インディアナ州ラファイエットの高校時代からの親友、イジーは2nd Album完成直後に脱退。主にソングライティング面での活躍が目立っていただけに痛手となったが、さらにギターキッズの人気者で、スポークスマンとしても注目を浴びていたスラッシュの脱退がバンドの分裂を決定づけた。ドラムスもスティーブン・アドラーからマット・ソーラムへ変わりパワーアップしていたが、そのマットやベースのダフらはスラッシュとバンドを組んだ。

アクセルは元々ガンズで使うはずの曲をスラッシュが自身のソロプロジェクトで許可なく使ったことで訴えたが、ロックンロール・バンドとしての継続路線よりも、進化、新しいサウンドを模索し始めているかのような感もあり、当時の時代の革命児だったナイン・インチ・ネイルズのギタリスト、ロビン・フィンクやバケットヘッド等をギタリストに招集したが、彼らはすぐに自身のバンドやプロジェクトに戻っていった。

14年の歳月を費やして"ガンズ"名義での3rd Album、"Chinese Democracy"が発表されたのは2008年のことだった。

”アクセルのソロ・プロジェクト”とも揶揄されたが、ハードロックファンはオリジナルメンバーの復活をのぞんでいる声もあったものの、美しい曲も実験的な曲もあり、アクセルの"怒り"、"不満"、"恋"、"屈折"、"美意識"が表現されたアルバムとなった。英米をはじめとする欧州では主に最高位2、3位、スイスらでは1位、日本ではチャート3位だがゴールドディスクとなった。

そんな中で、結成25周年として2014年11月(日本では12月)、"Appetite for Democracy"というDVD/Bluerayと2枚組みのライブアルバムが発売されることとなった。


◆"State-of-the-Art Point":

全世界で1億枚以上を売り上げたアーティストして、本当の意味で彼らの人気を全世界的なものにしたのは2nd Album、"Use Your Illusion"の存在だった。

2枚組みだが、バラ売りを認めるという新しい試みで多くの国でNo.1を記録したのは青いジャケットの"Use Your Illusion Ⅱ"の方だ。「ⅠよりⅡが好きだ」という声や、「やはりアペタイトの方が・・・」という声も多くきかれたが、真のワールドクラスになったのはこのアルバムのヒットがあったからである。

"Chinese Democracy"は3rd Albumであるが、これまでの路線を継承せず、アクセルは"Street of Dreams"、"Catcher in the Rye"、"Better"などの楽曲では健在振りをみせつつも、"There Was A Time"、"Sorry"、Chinese Democracy"等で新境地を切り開くことを選択した。ハードロックファン、ギターキッズにとっては、ハードロックな優れたチューン、また、ロックンロールファンには、ごきげんなロケンローのナンバーがない、とも言われたがそれもその筈。スラッシュとイジーが作曲に参加していないのだから。

・"Street of Dreams"

・"Street of Dreams" live

それによって支持母体であるハードロックファンからの支持を得られていないアルバムだったかも知れないが、そもそもアクセルが"売れること"、よりも、"アーティストとしての表現"を重視したのが"Chinese Democracy"だったし、売れることを第一に考えたなら、アルバムのタイトル名も変えていたであろう。何より、10億人の市場で発売禁止になる道を選ぶようなアルバムのタイトルをまず、つけないだろう。

それでも「もの凄いパワーを感じる」というフィーリングでこのタイトルを選び、この全世界的バンドの久しぶりのアルバムのジャケットは"一台の自転車"の絵が飾っているのだ!

"Chinese Democracy"の中で、イジーの"Shuffle it all"、スラッシュの"Sucker Train Blues"、"By the Sword"、ダフの"Believe in me"などをアクセルが歌えば、オリジナルなガンズになるのだろうが、"アクセルのアルバム"には入らなかった。アクセルのソロプロジェクトとも言われるものの、アクセルがいて、歌えば、オールドファンには物足りなくともガンズにはなり得るが、スラッシュが弾いても、他のボーカルが歌うと、ガンズには到底、なり得ないのは"ロックの殿堂"でのパフォーマンスでも明らかで、願わくば、楽曲をロックの殿堂で披露しないで欲しかったほどだ。

スラッシュは競演した事もあり、相性もよかったレニー・クラビッツ級のヴォーカルすら探せず、モトリーに一時在籍したジョン・コラビや、スキッド・ロウのセバスチャン・バックなどと組めれば、それなりにバンドとしての体を成せたかもしれないが、それでも、"唯一無二"の存在であるアクセルの代役には全くならない。

アクセルの新生ガンズには、DJアシュバという優れたギタリスト兼ソングライターがおり、モトリークルーのリーダー、ニッキー・シックスとの"Sixx A.M."も掛け持ちしている"二刀流"の人気者が雇われた。

"Use..."から参加のディジー・リードはアクセルのピアノ・ソングに厚みをもたらせる存在として残っており、バラードには期待がもてる。新メンバーで4th Albumを製作中だという話はずっと以前よりある。

ロン・サールはテクニシャンでもありながら、歌も歌えるギタリストだし、リチャード・フォータスはどこかストーンズのロン・ウッドやオールド・ハード・ロッカーの臭いがする3人目のギタリストだ。

ベーシストのトム・スティンソンは新しいDVDでは歌も唄い、完全にダフの立ち位置だ。

クリス・ピットマンというディジーに次ぐキー・ボードと、フランク・フェラーというAC/DCにでもいそうないかついドラムスも現メンバーだ。

そういった点では、今のバンドのメンバーは他のバンドよりも一段高みにあるメンバーの揃った悪くない布陣であり、仮に4th Albumが発表されれば、聴いてみたい布陣でもある。

しかし、アクセルの得意なスケールの大きい"November Rain","Estranged","Street of Dreams"らに匹敵するバラードは期待できるとして、ハードロックファンを納得させる"Paradise City"を超える楽曲があるか?"Welcome to the Jungle"を超える楽曲があるか?この点が新しいファンを取り込み、オールド・ファンをだまらせる"世界的大ヒット"に繋がる課題となるのは間違いないであろう。

"It Ain't So Easy"だろうが、アクセルにとっては、"FXXK OFF","So What?"な課題とでも言うだろうし、売れることよりも”アーティストとしての表現”を選んだアクセルの新たな未来のピクチャーを早く観てみたいものである・・・。

"Appetite for Democracy"発売を記念して、"Use Your Illusion"が仮に1枚組としたら?というかねて流行った命題にここではチャレンジしてみよう。

そもそもガンズのパーフェクトなベスト版なんてあり得ないし、"Use..."でさえ、2枚のアルバムとしてアクセルが、ガンズが、表現したものであるから、それを1枚にするのはどだい、無理な話だ。AC/DCやMotleyやVan Halenについて聞かれるなら、「全部買え!」というのがてっとり早いのと同様、”最も売れたデビューアルバム”である"Appetite for Destruction"から新作の"Appetite for Democracy"までを今のガンズを知る上では、”買い”、だといいたい。しかしながら、"Use..."こそが彼らの人気を決定的なものにしたアルバムでもあり、無謀なチャレンジだが、"Reckless"な彼らへのリスペクトを込めて、ここでは少し"Reckless"な命題を考えてみることにしよう。

(※"Reckless Road"というガンズの映画が製作される予定である。)

"Get in the Ring ! Tour"(リングにあがれ!ツアー)で来日時には、大ファンを公言するB'zや、小室ファミリー、それにアイドルであるTokioの長瀬君らもこぞって彼らのライブを観にいっており、会場でみかけたという声があがったものだが、日本では矢沢永吉や長渕剛ら位しかアクセルと対等にロックな会話ができないのではないか?とおもわせるリアルで、アーティスティックで、ストイックで、デンジャラスなロケンローラーであるのがアクセルのかっこよさだ。

のぞむらくも2014年にNew Albumを発表したU2やAC/DCの固定された主要メンバーからおり成すサウンドの安定感とは対極にあるバンド状態だが、イジーもスラッシュも素晴らしいが、アクセルの秀逸な感性は別格で、幼少期に聖歌隊で音楽の基礎を学びつつ父親に虐待されたという特異な体験からエンジンがかかるまで時間を要する万人には理解し難い特殊な”アクセル・タイム”を有するとはいえ、アーティストとしては抜きん出ている。彼のカヴァーは殆どがオリジナルと同等もしくはそれ以上に優れ、ガンズを過去にカヴァーした多数のどのバンドもオリジナルより劣っている。まるで両親に育てられなかった特異な体験を持つジョン・レノンのように純粋な"Dreamer"でありながら、孤独で、ストイックだが、美しい感性が、アクセルの作曲した"November Rain"や"Estranged"らの名曲には存在する。

"You're in the Jungle , Baby ! You're gonna die..."(お前はジャングルにいるぜ、ベイベー!お前は死のうとしている・・・)そんな生き馬の目を抜くような醜く、酷い奴らに出会ったら、アクセルの心境もよくわかるであろう!

"You can use your Illusion...my baby's got a locomotive !"


◆"Appetite for Illusion" / Use Your Illusion Best

-Tribute to G'NR 25th Anniversary-


1.Locomotive

1.Locomotive live!

2.Right Next Door To Hell

3.Don't Damn Me

4.You could be Mine

5.Pretty Tied Up

6.Bad Obsession

7.November Rain

8.Get in the Ring

9.Don't Cry(Original)

10.Estranged

11.Shot Gun Blues

12.So Fine

13.Double Talkin' Jive

14.Dust N' Bones

15.Knockin' on Heaven's Door


G'NR Official

G'NR/Universal Music

Use Your Illusion Ⅱ

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