Dream Japan

Vol.3
★「横道世之介」
~ 80年代の普通の青春模様を鮮やかに映した12か月の軌跡 ~

(2013/02/02)

公開     : 2013年2月23日(土)
原作     : 吉田修一
監督・脚本  : 沖田修一
脚本     : 前田司郎
製作     : 『横道世之介』製作委員会
出演     : 高良健吾 吉高由里子 池松壮亮 伊藤歩 綾野剛
主題歌    : ASIAN KUNG-FU GENERATION 「今を生きて」
音楽     : 高田蓮
企画・製作幹事: 日活
配給     : ショウゲート

★芥川賞作家、吉田修一の原作を「南極料理人」の沖田修一が映像化


「横道世之介」(よこみちよのすけ)。

初めて聞くとユニークなインパクトのある主人公の名前をタイトルにした小説を原作にした映画が2月23日に公開される。

芥川賞作家、吉田修一の描く横道世之介は、長崎出身の上京した大学生で、魅力的な彼のキャラクターにひきつけられる登場人物たちとの何気ない日常が、4月から、翌年3月までの12か月間描かれる。
途中、約20年後の登場人物たちが、世之介との思い出を語るシーンも挟まれている。

主人公の世之介を演じる高良健吾は、沖田修一監督の作品には「南極料理人」に続いて出演である。また、世之介の父親を演じるきたろうも同作品に出演している。

社長令嬢のお嬢様で、恋人の世之介同様、いやそれ以上に明るい人物像が印象的な与謝野祥子役は、吉高由里子が演じている。

映画は、原作にほぼ忠実に再現されていて、上京直後の新宿の喧騒から、大学祭のサンバパレード、祥子とともに長崎に里帰りして旧友や元彼女との海水浴、そして、20年後のそれぞれの様子などが、鮮やかに描かれる。

吉田修一の作品を読む人には、過去の彼の作品を思わせる描写や設定に、にやりとするだろう。
何より、世之介の設定の一部(出身地や大学)は、原作者の設定を踏襲している。

そして、一部、突拍子もない展開もあるが、世之介たちは普通の青春を謳歌し、20年後にそれぞれ困難な現実に直面し、当時の世之介との思い出を大事なものとして語りだす。誰もが経験したであろう学生時代の淡い思い出がスクリーンに映し出される作品だ。

◆"State-of-the-Art Point":

原作者の吉田修一は、最初の小説集『最後の息子』の表題作で文學界新人賞を受賞し、華々しいデビューを飾った。

「最後の息子」はゲイの主人公と、恋人だった「閻魔ちゃん」の物語だったが、同じ長崎を舞台にしながら吉田修一の名前を広めた後年の「悪人」にもつながる「破片」と、水泳部のそれぞれが秘める思いがありながら青春小説にまとめた「Water」と、それぞれが特徴的な作品となっている。

心にいろいろな思いを秘めた山本周五郎賞受賞の群像劇「パレード」、そして何気ない公園での出来事をつづった「パーク・ライフ」では、遂に芥川賞をも受賞した。

     

そして、恋愛小説「東京湾系」と「7月24日通り」でなどで、ちょっと、心に秘密のある人々の日常や人間関係、恋愛模様を描く作家として、認識された後に、それまでのイメージとは異なる犯罪をテーマにした毎日出版文化賞と大佛次郎賞を受賞した「悪人」や「さよなら渓谷」を書き上げた。

ここ最近でも、選挙をテーマにした「平成猿蟹合戦図」や、スパイをテーマにした「太陽は動かない」など、常に新機軸に挑戦している。

同時に、ANAの機内誌「翼の王国」のエッセイでたびたび触れられていた台湾に関する思いを、日本と台湾の人々のつながりと台湾新幹線をテーマにした「路(ルウ)」として、結実させた。

今後も常に、人々の期待を良い意味で裏切る活躍を期待したい。

映画のキャストでは、主人公の世之介役の高良健吾と、恋人祥子役の吉高由里子は、金原ひとみの芥川受賞作を蜷川幸雄監督で映画化した「蛇とピアス」で共演している。

熊本出身の高良健吾は、ドラマ「ごくせん」でデビュー後に、多くの映画出演を果たしており、2011年のNHK連続テレビ小説「おひさま」のヒロインの夫役でお茶の間の知名度も増し、三浦しおん原作の「まほろ駅前」シリーズの映画に続き、今年1月11日からスタートしているドラマでも裏組織のリーダー星役で出演している。

吉高由里子も日本アカデミー賞新人賞を受賞した「蛇とピアス」や、DeNAの無料通話アプリ「comm」をはじめとするCMや、福山雅治の「ガリレオ」の新共演者になるなど、多方面で活躍している。

映画主題歌「今を生きて」を本作のために書き下ろした ASIAN KUNG-FU GENERATION は、今年10周年記念ライブを横浜スタジアムで開催する。「今を生きて」は、映画公開前の2月20日に発売。

女性に人気の綾野剛も出演し、国村準など脇を固める役者も頼もしい。この映画の登場人物と共に、視聴者自身の青春の思い出を蘇らせてくれる作品となるであろう。


reported by Tino

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