Dream Japan

Vol.27:


"Knock U Out!" - New Era of Football!

""ノック・ユー・アウト!" - フットボール新時代!  -"Knock U Out !" - New Era of Football!

(2014/08/25)


まるで、試合前にKO勝ちを宣言しながら3ラウンドでノックアウトされたボクサーのようだ。 ブラジルW杯にのぞんだ日本代表は、顔面殴打され流血した状態で、旅立った。


アジアカップの勝者としてのポゼッションサッカーは全く、世界の強豪に通用しなかった。

日本はアジアレベルでの戦いと、世界レベルでの戦いを分けて考えなければいけない位、ひどい状態、言ってみれば、”惨敗”でトーナメントを閉め出された。 特にコロンビア戦は、後半から投入されたひとりの天才、ハメス・ロドリゲスの登場により、45分で3失点して、最後には”芸術ループ”で完全に、レベルの違いを見せつけられた。


◇6月14日◇レシフェ


第一戦、コートジボワール戦は本田のゴールで先制したものの、終始、コートジボワールの攻勢で、日本の動きは重かったし、南アW杯のような守りを固めるサッカーを捨てた手前、1-0で逃げ切るというメッセージはほとんどなかった。

そのさ中、かつて世界最高のFWの一人であったが、キャリアのピークをすぎたとはいえ、途中で投入されたドログバの存在感は凄かった。彼が投入されてからの約4分程度で、日本は2失点を喫した。

右サイドバックとして、アーセナルのベンゲル監督が熱視線を送っていたと言われる両チームのオーリエと内田。そのうちオーリエは2つの正確なクロスで日本を敗戦に追いやった。

とにかく、速く、攻撃的。オーリエの印象だ。一方の内田は守備力ではオーリエより優れているかも知れないが、攻撃力ではオーリエの方が上だったかも知れない。世界レベルでは、バルサのダニエウ・アウベスのようなスーパーな攻撃力を持つ選手がいるが、それに比べると両者とも、見劣りしてしまうのは否めなかった。

内田も攻撃参加ができるが、最後の正確なクロスでアシストをあげる数、数値という結果、また、自身で単独でシュートを決めきるまでの得点力がない。アウベスやマイコン、以前のロベカルクラスは、自身で持ち込んでゴールまで決めてしまう。

オーリエも内田も優秀だが、それが最高レベルの、ワールドクラスで突出したサイドバックだ!

結局、ベンゲル監督は、最終的に両者共に獲らず、彼らより年は上だが、攻守それぞれにレベルの高いフランス代表、ドゥビッシーをアーセナルの正SBとして獲得した。

オーリエの方はPSGにスカウトされたが、レギュラーを獲得できるか?彼の今後の成長次第だろう。

話を戻すと、敗因は、選手交替にあった。長谷部を遠藤と交替したが、病み上がりの長谷部を早く退りぞかせ、遠藤でポゼッションを高めようとしたのかも知れないが、狙いどおりにいかなかった。

大迫に代えて大久保を投入し、本田をワントップに置いてみたが、これも効果がなかった。

後半41分には香川に代えて柿谷を入れたが、柿谷、香川の連携で直前のコスタリカ戦でゴールを決めたのだが、柿谷も香川抜きのこの試合では孤立したまま、DF吉田をあげさせてパワープレーというほぼ国際試合で見たことのない戦術をとったまま、試合は終わった。

香川、岡崎、大迫といった攻撃陣のシュートゼロ。これが日本の目指したポゼッションサッカーの実態、実力だった。

コートジボワールもヤヤ・トゥーレが故障明けで明らかに体調が悪かったが、それでもボニー、ジェルビーニョというワールドクラスのFWの得点で逆転勝ちする攻撃力があった。


◇6月19日◇ナタル


はっきりいって、退屈な凡戦だった。この試合をみた素人がサッカーという競技を好きになるとは思えない。0-0で引き分けたが、香川を外して大久保をスタメンの右FWに入れて岡崎を左FWにして臨んだ日本だが、前半34分に警戒すべきFWミトログルが負傷退場し、ゲカスが早々投入され、38分には長谷部へのファウルでギリシャ主将のカツラニスが退場で日本は数的有利にたった。

後半には日本は長谷部に変えて遠藤を投入。後半12分には大迫に変えて、ようやく香川が投入された。

最大の決定機は後半23分、香川がペナルティエリア付近で内田にワイドなパスを出し、内田が大久保にラストパスを送ったが、大久保の左足は枠をとらえられなかった。

後半最後にはまたもや吉田をオーバラップさせたが、結果が出ずに0-0で引き分け。

本田もコートジボワール戦のゴール以降、何も決定的な仕事をできなかった。


◇6月24日◇クイアバ


グループリーグ突破を決めているコロンビアは前節から8人を入れ替え、エースのハメスをスタメンに入れない余裕の布陣。日本も前半に勝ち越せば、チャンスはあったかも知れないが、しかし、17分に先制したのは日本ではなかった。アドリアン・ラモスを今野が倒してPKを献上し、クアドラードに決められ、あっさり先制を許した。それでも攻撃的にいった中で、前半アディショナルタイム、右サイドから本田のクロスにニアで岡崎がダイビングヘッドし、これまで好守を連発していたGKオスピナ(大会後にアーセナルに加入)の脇をボールが抜け、何とかゴールネットを揺らし、同点となった。

ハメスが投入されると試合はコロンビアペースになり、後半55分にハメスがジャクソン・マルティネスへラストパスをおくり、コロンビアがあっさり2-1に。

62分に青山に代えて山口を、69分に岡崎を下げ、柿谷を投入したが、82 分、カウンターから抜け出したジャクソン・マルティネスがペナルティエリア内で内田を切り返しでかわしてから、左足でシュートを決めて3-1となった。

これで劣勢になった日本は直後に香川に代えて、清武を送り込むが、GKオスピナを下げて43歳と3日でワールドカップ最高齢出場記録を更新することになるGKファリド・モンドラゴンが途中出場で登場する余裕をみせる。

そして最後には、90分にハメスロドリゲスがカウンターから3試合連続ゴールとなる圧巻の”芸術ループ”をみせ、吉田、GK川島を順番に見事にかわして、ゴールネットにボールをおさめ、4-1で試合終了となった。

最後のハメスのゴールで、日本はノックアウト負け、完敗したばかりか、世界との差をみせつけられてしまった。

あまりに打たれすぎて、”顔の腫れ”が引くまで、批判ばかりになるので、コメントすら控えたかったが、ここまでの惨敗をみての感想を、将来への希望もこめて、まとめてみよう。


◆"State-of-the-Art Point":

  


・アジアと世界で戦い方を変えてはどうか?

力の差は歴然だったし、トルシエと岡田監督の守備的サッカーはつまらないと言われたが、守備あっての攻撃であり、日本を代表する本田、香川、吉田の3人は、クラブで準レギュラーだった実力、事実を受け止めるべきだった。

・”本田システム”でのぞんで負けたのではないか?

ACミラン、イタリアでは相当バッシングにあっている本田だが、プレースピードがあまりに遅すぎるという点、持ちすぎるが”10番”としては想像力にかけるという点は真摯に受け止めるべきだ。

一方で、インザーギ監督も本田の長所を引き出すには中盤の底か右、戦術は”速攻重視”かと、考えてくれている。香川も、本田もどこであろうと控えに甘んじるよりは、レギュラーの取れるチームで、信頼の厚い監督の下で戦ったほうが、彼らのキャリアにとってもいいだろう。本田に関しては、バロテッリという上手いが前線の運動量のさほど多くない選手、カカーという30代になったベテランの主力との相性がイマイチで、故障から復帰のエルシャーラウィや元フランス代表のメネズといった比較的若く運動量もある選手との相性次第では中心選手扱いになる可能性はあるだろうし、インザーギ監督は、自身がそうだったようにこういった多少生意気だがプロ意識の非常に高い選手が今のところ好みのようだから、結果を残せば、主力になる可能性はあるし、逆ならミランを去らねばならないだろう。日本代表では、ギリシャ戦は何故か消えていた本田だったが、アギーレになったとしても継続路線なら、香川、岡崎、本田、+αの最後の1ピースとなる重要な選手とのコンビネーションを高めることが重要だろう。

・戦術はあっていたのか?

ザックは日本にポゼッションサッカーをもたらそうとしていたし、それは日本にとって、”良い挑戦”という空気はあった。

しかし、公式戦であまり試したことのない、FW大久保の融合という急造の試みに失敗し、吉田のオーバラップも国際Aマッチのガチンコ勝負であまり見ない光景だった。

さらに、スペインのサッカーでさえ、シャビやカシージャス、引退のプジョルらの高齢化と共に陳腐化し、その先をいく5バックが今回の最新トレンドだった。3バックが得意なザックは、3バックからの変形系ともいえる5バックをもっと早く試すべきだった。

・FWはいないのか?

純粋なFWタイプで、ワールドクラスでクラブチームで結果を残していたのは、岡崎だけだった。今大会では1点だが、彼の決定力は日本では最高クラスで、世界のFWと比べてどうか?という議論はあるものの、 彼をもっと活かせなかったのか?、メディアの”本田システム”重視報道の責任でもあったかも知れない。

・攻撃の連携は?

大久保、大迫、柿谷、本田、岡崎に香川。これらの連携を何故試さなかったのか?

ザックジャパンは何と言っても、本田、香川、岡崎で点をとってきたチームだが、その3人とあう、もう一人の組み合わせが柿谷なのか、大久保なのかはっきりせぬまま、終わってしまった。

さらに、斉藤を連れて行ったのに、一度も試さぬまま終わってしまった。であれば他の選手を選出すべきだったかも知れない。

・守備力は?

1年前のコンフェデ、今回のブラジルW杯、とにかく、失点が多すぎた。

ザックは攻撃重視とはいえ、イタリア人監督だ。今回のイタリア代表も以前のようなカテナチオとは到底いえない戦い方をしていたとはいえ、どうもスペインの”ティキタカ”、速いボール回しと攻撃的なポゼッションサッカーを模倣しようとしたが、結果的には幻想に終わったようだったし、その分のリスクが大きく、ディフェンス陣は吉田も今野も森重も川島も、世界にアピールする機会がまるでなかった。

しかし、DF陣の問題というより、チーム全体の守備の取り決めがあまりないということのほうが、もっとも問題だったであろう。

守備的なコスタリカ代表、ギリシャ代表は苦しいグループリーグと低い下馬評の中で予選を突破したのだから。

・ベテランの登用は?

ドログバに圧倒されたが、トゥーリオがいれば、パワープレーもできるし、ドログバを骨折させた男だし、ブラジルの地も一番、良く知る日本代表だっただけに、ドログバへの脅威が薄れたかも知れない。

ハーフナーや豊田らもパワーープレーのスペシャリストだったが、彼らを選出しなかったのだからパワープレーを放棄して足元のプレー重視なのかと思いきや、スペシャリストではない吉田にそれをやらせるなど、よく分からない戦術があったが、アジアでは吉田も巨人だろうが、ギリシャやコートジボワールらには大きな選手もいたし、急造すぎて、大して脅威にはならなかった。

これもメンバーを固定し過ぎた”本田システム”の延長にある。本田や吉田といった決まった選手をひいきする偏った選手への期待だけで、バックアップのオプションプラン、柔軟性の少ない多様性に欠けるザックの人選ミスかも知れないし、岡田監督は南アフリカ大会では急遽、直前の試合でイングランド、コートジボワールといった強豪国に惨敗した結果、守備的にするためにボランチに阿部を入れるシステムを作った。

阿部もまだ30代であるのだからスペシャリストとしてアクセントを作るために呼べばよかったし、山口、青山はその点では期待の選手だったが、いかんせん、国際経験が少なすぎた。FW斉藤を使わないなら、ボランチのスペシャリストや、精神的な支柱は必要だったであろう。

トルシエは最後にベテラン中山、秋田を呼び、中村を落とし、岡田氏は川口を呼んだ。戦力としては微妙な年齢だったが、ベンチではベテランも頼りになったはずだ。香川のメンタルが今回、マンUでモイーズ監督に信用されずに少し弱かったことを考えても、プレッシャーを真に受けてしまったのかもしれないが、彼をエースとして使うなら、気を楽にさせる存在が必要だったであろう。それは大久保だと、原委員長がいうなら、攻撃の支柱だとしても、守備面では、吉田も川島も誰もがチームに調和と安定をもたらせられなかった。

野球にたとえるなら、頼りになるベテランの代打の切り札や、何でも受け止めて投手を安心させるキャッチャーの存在がイマイチ不在だった。

・ポゼッションか、カウンターか?

古くは釜本-杉山ホットラインでのメキシコ五輪3位、トルシエジャパン、岡田ジャパンのグループリーグ突破・・・とカウンター、リアクションサッカーの方が結果を残してきたのは確かで、超人的な選手が少ない中では有効な戦術のひとつかも知れない。

ポゼッションはザックも語っていたように、プレースピードが遅すぎると、相手が守備を固めてしまい、単なるパス回しを繰り返えすだけのサッカーになってしまう。スピードと創造性が揃うタレントが複数いるとき、そう、フランス代表のジダンとジョルカエフ、ピレス、アンリら、スペイン代表のシャビ、イニエスタ、ダビドシルバ、セスクら、そして今回のエジル、ミューラー、クロース、シュバインシュタイガー、シュールレ、ポドルスキー、ゲッチェらのように複数の卓越したスキルあるタレントがいれば有効だが、そうでないなら、単にパスを繋ぐゲームになってしまい、点取りゲームにはならないリスクがある。

さらに相手のレベルによって使い分けら得る柔軟性がドイツにはあるし、さらに背も高く、フィジカルが強く、ポストプレーでも点がとれるという実に得点パターンの多様性があることが確実な勝利をもたらしていた。


・4年後の主軸は?

FW候補:宇佐美、宮市、永井、斉藤、武藤、鈴木武蔵、原口。

ハーフナー、豊田、久保、小林、長沢、大津、皆川、南野・・・らに加え、新戦力も楽しみだ。

日本は10代までは天才的な選手が育つが、その後、ワールドクラスにならないままキャリアを終えてしまう残念な選手が多い。

ナイジェリアにも同じ事が言えるが、25までは欧州のレギュラーをはれるチームで多くの経験をつませ、それ以降はいきたいクラブで少しはチャレンジさせるなど、日本選手が欧州で控えに甘んじない指針を出すべきだ。ビッグクラブにいくことだけがスターなのではなく、欧州の舞台で結果を残せるかが、もっともキーとなることなのだ。

もっとも、それを超えて、超一流クラブで活躍する選手が出てくる頃に日本が本当に優勝を狙えるのかも知れないが、スーパーボレーと、芸術ループのハメス・ロドリゲスでさえ、FCポルトやASモナコでエースになって満を侍してW杯で世界に認められてから、レアルマドリーに挑戦するのだから、最初からネームバリューにばかり拘らずに、多くの経験を積むという”財産”が主軸、ベテランになってからも有効であることを考え直すべきであろう!

特に、宇佐美、宮市、永井、斉藤、原口らはこのまま終わるよりは、主軸になるチームでまずは経験値をあげてほしい。

MF候補:柴崎、山口、細貝、青山、清武・・・。

MFは柴崎は”使いたい選手”として今後、頭角をあらわすだろうが、まだワールドクラスの選手が足りない。 ”香川システム”こそが4年後の形だという意見もあるが、本田がボランチの位置に下がれば4年後も活躍できるという意見もあり、アギーレ新監督がどういった人選と配置をするのか、まだ未知数だ。

ワールドクラスで人気が出るような守備のスペシャリストが中盤にいなかったのも今回のチームの敗因のひとつで、長谷部や遠藤らを越えるような選手が出てくるか、も課題であろう。

FW斉藤を全く使わないなら、もっともボランチらしく国際経験もあった細貝やベテランの阿部を今回、連れて行ったほうがよかったかも知れない。

DF候補:内田、長友、吉田、酒井宏、酒井高、

植田、扇原、塩谷・・・。

GK候補: 西川、 権田 ・・・。

西川はサンフレッチェ2連覇を支えた日本の中では優れたGKで、メンタリティや海外経験では優勢な川島よりも若いが、優勝実績はあり、4年後を考えても使うべき選手のひとりだったかも知れない。

W杯直前のザンビアとの試合で西川を使って日本が3失点したため、ザックも踏ん切りはつかなかったろうが、川島がコートジボワールのジェルビーニョのゴールを止められなかったことや、今回のW杯で、ノイヤー、オチョア、オスピナ、クルトワ、ナバスら世界のGKの活躍が目立ったことを考えても、世界との差があったといえるかも知れない。

ノイアーは、ある時はもうひとりのセンターバックにもなったし、躍進のコロンビアのオスピナはアーセナル、コスタリカの守備を支えたナバスはファイン・セーブを連発し、レアルマドリーに移籍したりと、世界のGKは卓越していた。

西川の抜けたサンフレッチェは首位争いが出来ておらず、浦和レッズは首位争いをしているし、カウンターサッカーのサガン鳥栖も首位争いをしている。

セルジオ越後氏の言うように世界的スターでもないのにスターにしてしまったメディアの責任、前回大会でアシストを決めた松井大輔氏の言う、負けても暖かく迎える日本と暴動がおきるほど真剣な強豪国との置かれている環境の違い、ザックの柔軟性のない偏った選手起用など、多くの原因はあったであろうが、何よりも、ディフェンス面での秩序の欠陥・・・これが一番の日本のグループリーグ突破できなかった理由であろうし、大逆転突破のギリシャ、そして、直前の試合で日本が勝ったコスタリカでさえ、強豪オランダを苦しめる組織的な守備力を備えてきた。

攻撃では、個で局面を打開できる可能性のあってかつ、スピードのある選手は香川、宇佐美、宮市、斉藤、永井など、候補がいる。


4年後には、それらの選手が未完のまま終わらぬよう、真のワールドクラスに育てて、主軸として日本を引っ張っていく成長をみせて欲しいものである!


   



◇Knock Out Thunders ! - "AC/DC"

◇Mama said Knock U Out ! - Grammy Winning Song by "LL Cook J"

◇Get Lucky ! - Grammy Winning Song by "Daft Punk"

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