Dream Japan

Vol.21:


"The World Cup Eve !"

"ワールドカップ前夜祭!”-FIFA Confederation's Cup Review!(コンフェデ・レビュー!)

(2013/07/07)

世界8カ国の王者が一同に介したFIFAコンフェデレーションズ・カップの王者はブラジルに決まった!

大会MVPに輝いた若きセレソンの至宝、ネイマールを筆頭に、フレジ、オスカル、パウリーニョ、マルセロ、ダニエウ・アウヴェス、チアゴ・シウバ、ダビド・ルイス、GKジュリオ・セーザルらが世界一にふさわしい活躍をみせた。

7月1日のリオの街で輝いたのは、W杯、ユーロ王者スペインではなく、ブラジルであった。

29戦不敗を続けていたスペインは3-0で破れて、”王者”の座を明け渡した。これはコンフェデというW杯のプレ大会であり、W杯やユーロ、南米選手権ではないという人もいようが、本気の勝負でスペインは負けた感がある。

FWフレジが開始2分にゴール前の混戦から倒れこみながら先制弾を決め、圧巻は44分のネイマールがオスカルとの1、2気味のパス交換から決めた左足シュートだろう。

”ジダンの左足” - そう、2002年のチャンピオンズリーグ決勝での伝説の左足シュートを彷彿させる見事な左足のシュートをネイマールが決めたのだ!

この華麗なゴールが決まった時点で地元ブラジルはフェスタ(祭り)が最高潮に達し、スペインは息の根を止められていた。

もっというと、その前の41分にペドロがカウンターから抜け出し、シュートを放ったのだが、CBダビド・ルイスがスライディングでゴールを防いだシーンで、スペインが同点に出来なかったことも勝負の分かれ目だった。

そして後半開始直後の47分に再びフレジが大会得点王に並ぶ5得点目のゴールを決めて、勝負が決した。

スペインはツキにも見放され、セルヒオ・ラモスのPKは外れ、ピケはネイマールを倒して退場になり、王者から陥落した。

”コンフェデ3連覇”という形でスペインに代わって新たな王者となったのは、W杯を史上最多の5度制しているブラジルだった!

2006年は1998年フランス大会同様にジダンと、そのアシストを決めたアンリにやられ、2010年はスナイデルの2発にやられた王者ブラジルが、再びW杯優勝候補の「本命」に名乗りをあげた瞬間だった。

ネイマールは全てのタイトルを手中にし、自国開催のW杯で決勝ゴールを決めたジダンの域に近づけるか?2014年W杯まで、ついに、あと一年をきった。


◆"State-of-the-Art Point":

  

シンプルにブラジル代表を分析してみよう。

今回のブラジルは何がよかったのか?ひとつは守備である。ダビド・ルイスとチアゴ・シウバは何れも、英・仏のメガクラブ、チェルシーとPSGの守備の要だ。

その鉄壁で、かつ、足元の技術にも優れた二人のセンターバックに日本を含めた列強は、ゴールを阻止された。インテルでCLを制したGKジュリオ・セーザルもファイン・セーブを連発した。

4-2の打ち合いになったイタリアの2点と、ウルグアイのセリエA得点王カバーニの1点の計3点以外、日本、メキシコ、スペインは完封された。

そしてオフェンス。特に開幕の日本戦でネイマールの見事なボレーで先制したが、それ以降、終始、ブラジルペースで主導権を握っていた。

0-3で敗れた日本代表長友は「中学生と大人のレベル」と自暴自棄になったりもしたようだったが、確かに日本代表でブラジル代表になれる選手はひとりもいないといってもよいほど、テクニックでは劣っていた。

フレジの強靭さと決定力、途中出場のジョーの決定力しかり、マルセロ、ダニエウ・アウヴェスの日本のサイドバックと比べた足元の技術の高さ、パウリーニョの日本ならFWではないか?と思うほどの決定力の高さと嗅覚、など枚挙にいとまがない。

唯一、香川や本田がもしオスカルと比較するならひいき目で互角かと、セレソン入りの期待ももてるかも知れないが、相手のエース、ネイマールとの比較となると、現時点では後者が勝っているとしか言いようがない。

得点力、華麗さ、決定力、テクニック、いずれをとっても、ネイマールが世界の5指に入るクラッキ(名手)であることが明確にわかった大会であった。

一方のスペインは、FWがイマイチだ。トーレスは今後は出場枠の在り方を考えたほうがよいであろうタヒチ戦でこそハットトリックしたが、強い相手にはイマイチだったし、前回大会で活躍したビジャも年齢的な衰えがみられる。ソルダートやネグレトではもの足りない。

中盤は相変わらずタレントそろいで、イニエスタ、セスク、ダビド・シルバ、マタ、カソルラらがいるが、今までチームを牽引したシャビも30代に突入してフルに活躍するのが難しくなってきている。

DFもやはりプジョルの不在が大きく、近年故障がちなだけに、ピケ、セルヒオ・ラモスが充分なのか、また、ボランチのシャビ・アロンソの不在も目立ってしまった。

依然としてタレントは豊富なものの、スペインが”絶対的な王者”として君臨したサイクルは終焉を迎えようとしている。

これにFWが多すぎてスアレスを活かしきれなかったウルグアイがカバーニ、フォルラン含めてどのような調整をしてくるか、また、イタリアも攻撃的な側面をみせてプランデッリのフットボールの形はみせたが、あまりにも失点が多すぎたため、今後どのような変化をつけてくるのであろうか。

その他現時点で完成形に近いチームは、ドイツだろう。この古豪はフィジカル、メンタルともにすぐれ、さらに近年タレントも豊富な状況にある。

   

バイエルンとドルトムントは欧州の頂点の舞台にたったが、何れもドイツ勢で、タレントも充実している。

   

このコンフェデが始まる前であれば、スペインとドイツは優勝候補筆頭にあげられたであろうが、今やそこにブラジルも加わる。

バイエルンでバロンドール候補になったミューラーとシュバイニー以外にも、GKノイアー、ラーム、ボアテング、フィオレンティーナへの移籍の決まったマリオ・ゴメスなど、さらにゲッチェ、ロイス、フンメルスらドルトムント勢もドイツ代表のファイナリストだ。

一方、今回バロンドールをとらなければいつ取るのか?と言われるバイエルン3冠の最大の功労者、才能にあふれたリベリーは、フランス代表で輝きを放てていない。スターになったマルセイユでも、その前のメツでも、輝いていたのだが、何故かレブルーでは結果が残せない。同じ左サイドを得意とするFWベンゼマとの相性もあるのだろうが、ジダンとアンリも決して相性がよかった訳ではなかっただけに、それだけではない、フォーメーションや戦術、チームのメンタリティも影響があろう。

デシャン監督は今でこそリッチになったが当時は予算の限られていたASモナコを率いてクラブ史上初のCL決勝の舞台まで登りつめ、マルセイユでもCLベスト8と18年振りのフランスリーグ制覇、フランス人としてイタリアの貴婦人、ユベントスのセリエA復帰に貢献した知将であり、モナコ時代には早くからフレジを欲しがったが資金面でリヨンが大金を出したため大いに悔しがっていたエピソードを含め、眼力のある人物だけにどこまで建て直せるだろうか。

オランダ代表はCL決勝でロッベンが大活躍し、ファンペルシーもプレミア屈指の得点王になったが、スナイデルらに衰えもあり、とりわけ名GKだったファンデルサール引退後の守備力は以前ほどないように見える。

イタリアはプランデッリの下で攻撃的なカルチョをかいま見せてくれたが、日本代表に3失点、ブラジルに4失点と守備の課題があり、案の定出場停止になったバロテッリ不在後のスペイン戦では持ち前の守備力をみせたが、まだ攻守のバランスがチームとして充分とれていない。

もっともイタリアの凄いのは、戦いながら、最後までハラハラさせながら決勝まで行くだけの伝統的なメンタリティと球際の強さを持っている部分で、ローマ帝国建国のDNAがあるとでも思いたくなるほど勝負強いのも特徴なだけに、筆頭ではなくとも侮れない底力はある。

ウルグアイは南米で揉まれた守備力の上に攻撃的なタレントがワールドクラスであるという状態ではあるがフォーメーションに課題がある。

南米で面白いのは、コロンビアだ。かつてブラジルを倒して南米予選1位で通過したバルデラマ、アスプリージャ、リンコンらのいた時代は黄金時代になる筈だったが、プランが米国で開花しなかったものの、今回のコロンビアは堅守が売りだ。

アルゼンチン、ポルトガルはスーパースターがいるが、チームとしてドイツやブラジルほどの完成度はまだない。イングランドは攻撃も守備も何れも世界のトップにはないのが現状だ。


そして日本。いいところがないコンフェデだったのか?

0-3、3-4、1-2というスコアで、ブラジル、イタリア、メキシコに敗れた。

思い出すのは、フランスW杯でアルゼンチン、クロアチア、ジャマイカに敗れたように全敗だったことで、進化していないのか?とも結果からはみれる。

しかし、以前との違いは、守備的にいって接戦にもっていかなければ日本の個の力では勝ち抜けはムリだ、といった時代から、自分達のサッカーをして勝とうとしている点だ。

トルシエのときも、岡田監督のときも堅守がベースにあり、ベスト16という日本の最高位までは辿りついた。

ジーコは自身のブラジルの黄金の中盤のようなタレント揃いのサッカーで、中田、小野、中村、稲本らを活かそうとした。

ザックはというと、今回のコンフェデでは、ジーコに近いスタイルだった。

結果が出なかったことでザックの処遇も取りざたされ、2014W杯以降の人事もおそらく、日本サッカー協会でも、忙しくなりそうだ。

しかし、オシムの連動性、ジーコのパスサッカー、ザックのイタリア仕込みのサッカーといい、日本代表はスタディを続けている過程なのだ。

イタリアから3点がとれたことは大きな収穫だった。香川も本田も岡崎も持ち味を発揮できたのだから自分達のサッカーが出来つつあるともいえた。

問題は守備陣だ。トゥーリオ待望論は当然だろう。ブラジル、イタリア戦も大量失点だったが、メキシコ戦ではワールドクラスのエルナンデスがいると知りつつも止められず、2得点をあげられた。

ザックは将来のある若手を育てたいようでもあるが、あと1年でロンドンで結果を残した若手、山口、森重らがワールドクラスになれるか。

トゥーリオと中澤、楢崎、そして忘れては困る前回彼が入ったことで守備が安定した阿部らのいずれかはブラジルでは入れる選択オプションと有能な若手の発掘ができないと、今回のコンフェデと同じリスクを持つことにもなりかねない。

遠く離れたアフリカでベスト16という結果を残した守備の功労者たちをあと一年でテストしない手はないし、若手の有能な人材を発掘できるかは課題だ。

若手とか、ベテランとかではなく、吉田、今野、GK川島含めて、最後に競わせればいいだけの話だ。

トゥーリオが前線に上がり過ぎてセンターバックとしては困るという人がいるなら、ボランチなどでテストするのはどうか?攻守に優れたブラジルのパウリーニョをみてほしい。阿部や稲本もトゥーリオのような高さはないが、攻守に優れているベテランだし、若手では山口らは完成はされていないが、特に守備面では面白い存在だ。

ブラジルに0-3で敗れたことは差を痛感したが、スペインも0-3、イタリアも2-4、もっといえば、フランスW杯のブラジル代表自身でさえ、決勝で0-3でジダンのフランスに敗れているのだから、あまりにも悲観し過ぎることはない。

親善試合も興行ではなく、スペインやドイツ、オランダ、ポルトガル、ウルグアイなどとやった方がいいだろう。

そしてベスト8以上、いや、本田や長友らがビッグマウスと今では言われてしまうかも知れないが優勝を目指していく上で世界との差を痛感したのであればなおさら、弱点の明確になったあと1年が楽しみではないか。

肝心なのは、”総力を結集すること”、我々サポーター含め、ベストを尽くし、”チームサムライブルー”として、世界の舞台で歓喜を得たいものである。



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・FIFAコンフェデレーションズ・カップ2013


・FIFAコンフェデレーションズ・カップ2013特集


・テレビ朝日 ブラジルW杯アジア最終予選(2013.06.04)




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